ALL
STITCH HOTEL Kyoto Creative examples
「STITCH HOTEL Kyoto」の実績ページはこちらからご覧ください。
https://sanominami.com/project/stitch-hotel-kyoto/
公式サイト
プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000037.000032253.html
Sano Minami Desogn Office 代表/アートディレクター
佐野 みなみ
1983年11月03日生まれ。東京理科大学理学部化学科卒業 東京理科大学大学院理学研究科 化学専攻中退
その後、第一種特待生としてバンタンデザイン研究所グラフィックデザイン学科入学。
C.T.T.P (現 信藤三雄事務所) インターン在籍後2009年4月より2010年4月まで 合同会社OPERA (現 株式会社ヴィーナス・スプリング ) に在籍。グラフィックデザイナーとして勤務。
2010年4月より独立しSano Minami Design Officeを設立。
2023年から3年連続でグラフィックデザイン年鑑『MdNデザイナーズファイル』にて最前線で活躍しているトップクリエイター&次世代を担う若手デザイナー255組の1人として掲載されている。
ブランドプロフィール
STITCH HOTEL Kyoto
「STITCH HOTEL Kyoto(スティッチホテルキョウト)」は京都最大の繁華街が広がる
「四条河原町」エリアに佇むブティックホテルです。
悠久の古都が持つ歴史の重みと、西洋の馴染みあるフレンドリーさが調和した空間で、心地よく洗練されたひとときをお楽しみください。
公式サイト:https://stitch-hotel.jp/
プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000037.000032253.html
下:SMDOが提案したロゴデザイン
Logo Design Concept by SMDO
下:SMDOが提案したアメニティデザイン
The Design Concept Presented by SMDO
下:SMDOが提案したカードキーのデザイン
Card Key Design Concept by SMDO
下:SMDOが提案したショップカードのデザイン
Shop Card Design Concept by SMDO
下:SMDOが提案したウェルカムウォーターのデザイン
Welcome Water Design Concept by SMDO
下:SMDOが提案したwifi +ルームガイドのデザイン
Wi-Fi and Room Guide Design Concept by SMDO
下:SMDOが提案したコースターデザイン
Coaster Design Concept by SMDO
下:SMDOが提案したDDカードのデザイン
DD Card Design Concept by SMDO
下:SMDOが提案したWEBサイト用のイラストレーション
Website Illustration Concept by SMDO
下:SMDOが提案したフロアガイドのデザイン
Floor Guide Design Concept by SMDO
下:SMDOが提案した基準階共用部部屋案内のサインデザイン
The Signage Design Concept for Standard Floor Common Area Room Guide Presented by SMDO
下:SMDOが提案した基準階共用部部屋番号のサインデザイン
The Room Number Signage Design Concept for Standard Floor Common Areas Presented by SMDO
下:SMDOが提案した避難経路図のデザイン
Evacuation Route Map Design Concept by SMDO
下:SMDOが提案した土足厳禁のサインデザイン
The “No Shoes Allowed” Signage Design Concept Presented by SMDO
下:SMDOが提案したトイレ入り口のサインデザイン
Entrance Sign Design for Restrooms by SMDO
下:SMDOが提案した男女トイレのサインデザイン
Men’s and Women’s Restroom Sign Design Concept by SMDO
下:SMDOが提案した階段のサインデザイン
Stairway Sign Design Concept by SMDO
下:SMDOが提案した基準階共用部リネン庫のサインデザイン
The Linen Storage Signage Design Concept for Standard Floor Common Areas Presented by SMDO
下:SMDOが提案した非常階段のサインデザイン
Emergency Stairway Sign Design Concept by SMDO
下:SMDOが提案したティザーサイトのデザイン
Teaser Website Design Concept by SMDO
下:SMDOが提案したWEBサイトのデザイン
Smartphone Website Design Concept by SMDO
下:実際の撮影風景の様子
STITCH HOTEL Kyoto Shooting scenery
ホテルブランド 担当事例
ロゴとWEB制作におけるアートディレクション、デザイン
ロゴとWEB制作におけるアートディレクション、デザイン
webサイト制作と、illi Grop illi Shimokita、illi Nakanoのロゴ制作
webサイトアートディレクション、デザイン
STITCH HOTEL Kyoto Visual Branding
京都に新しくできたホテル「STITCH HOTEL Kyoto」のグラフィック全般のアートディレクション、フォトディレクション、webデザイン、ティザーサイト、ロゴ制作、店内サイン、アメニティデザイン、カードキーデザイン、イラスト制作等をSMDOで担当させていただきました。
STITCH HOTEL Kyoto WEBサイト
プレスリリース
SMDO was responsible for the overall creative direction of the newly opened STITCH HOTEL Kyoto, including graphic and photo direction, web and teaser site design, logo development, interior signage, amenity and key card design, as well as original illustration.
Logo Design
Art Director:Minami Sano (SMDO)
Sign Design
Art Director:Minami Sano (SMDO)
Amenity Design
Art Director:Minami Sano (SMDO)
Card Key Design
Art Director:Minami Sano (SMDO)
Shop Card Design
Art Director:Minami Sano (SMDO)
Coaster Design
Art Director:Minami Sano (SMDO)
Stairs Sign Design
Art Director:Minami Sano (SMDO)
Welcom Water Design
Art Director:Minami Sano (SMDO)
No Shoes Sign Design
Art Director:Minami Sano (SMDO)
Evacuation Route Map Design
Art Director:Minami Sano (SMDO)
Room Guide Design
Art Director:Minami Sano (SMDO)
Illust:Fumiko Yamane(SMDO)
Web Design
Art Director:Minami Sano (SMDO)
photoshoot
Art Director:Minami Sano (SMDO)
Photographer:Kiruke.
Movie: UW INC.
Costume:ailéFanM
Model: MIKAEL H(Free Wave) , LEA T (Free Wave) , TAICHI YAMAZAKI(AQUARIUS Inc.) , Emiri Fujido
Art Director:Minami Sano (SMDO)
LuLuLun The scent of OSMANTHUS
フェイスマスクブランド ルルルン(LuLuLun)より発売されたプレミアムルルルン 金木犀 (キンモクセイの香り)のBOXとパウチのアートディレクションとリニューアルデザイン、イラスト制作をSMDOにて担当させていただきました。
公式サイト
販売サイト
SMDO was honored to be entrusted with the art direction, renewal design, and illustration work for the box and pouch of Premium LuLuLun Osmanthus (Kinmokusei fragrance), released by the renowned face mask brand LuLuLun.
Art Director : Minami Sano (SMDO)
Assistant Director : Shinnosuke Nakasone(SMDO)
Plyastation Creative 01
play station キャンペーンのアートディレクション、グラフィックデザイン、撮影をSMDOで担当させていただきました。
SMDO handled the art direction, graphic design, and photography for the PlayStation campaign.
Art Director : Minami Sano (SMDO)
Assistant Director : Shinnnosuke Nakasone(SMDO)
Chief Designer:Yuichi Ikehata(SMDO)
Graphic Designer:SMDO
Main Photographer & Videographer:Moeko Sawada, Takuma IIoka, Shoichi Tagawa
Main PropStylist:Honoka Fukano, Rika Nagai
Client:株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
Client : Sony Interactive Entertainment
EntertainmentAgency : Tribal Media House, Inc.
Plyastation Creative 02
PlayStation キャンペーンのアートディレクション、グラフィックデザイン、撮影をSMDOで担当させていただきました。
SMDO was responsible for the art direction, graphic design, and photography for the PlayStation campaign.
Art Director : Minami Sano (SMDO)
Assistant Director : Shinnnosuke Nakasone(SMDO)
Chief Designer:Yuichi Ikehata(SMDO)
Graphic Designer:SMDO
Main Photographer & Videographer:Moeko Sawada, Takuma IIoka, Shoichi Tagawa
Main Prop Stylist:Honoka Fukano
Client:株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
Tokyo University of Science
佐野の母校でもある東京理科大学様からご依頼いただき、150周年事業ロゴとキービジュアルのビジュアルコンセプトとロゴデザインの考案、アートディレクション、デザインをSMDOにて担当させていただきました。また制作グッズとしてポスター(2種類)、クリアファイルのアートディレクションとデザインも担当しております。
東京理科大学150周年準備サイト
プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000175.000102047.html
東京理科大学が150周年を迎える2031年の時点で、未来を連想できるような理科大らしさのある挑戦的なロゴ、というご要望を受けて本案を考案しました。グラデーションや三次元表現を用い、新しく高度な動きを連想できる表現となっております。
SMDO was responsible for the visual concept, logo, and overall art direction for the 150th anniversary logo and key visual of Sano’s alma mater, Tokyo University of Science.
This concept was developed in response to a request for a bold, future-oriented logo reflecting the spirit of Tokyo University of Science as it approaches its 150th anniversary in 2031. It uses gradients and 3D elements to suggest dynamic and advanced motion.
Logo design & key visual design
Art Direction : Minami Sano(SMDO)
Assistant Direction : Shinnosuke Nakasone(SMDO)
Chief Graphic Designer : Yuichi Ikehata(SMDO)
Graphic Designer:Maiko Shimohiro(SMDO), Sachiko Fukuoka(SMDO)
AssistantDesigner:Shigeo Sato(SMDO), Machiko Terada(SMDO), Moeko Doi(SMDO), Yuko Araki(SMDO)
cliant : Tokyo University of Science
Poster design
Art Direction : Minami Sano(SMDO)
Assistant Direction : Shinnosuke Nakasone(SMDO)
Chief Graphic Designer : Yuichi Ikehata(SMDO)
Clearfile design
Art Direction : Minami Sano(SMDO)
Assistant Direction : Shinnosuke Nakasone(SMDO)
Chief Graphic Designer : Yuichi Ikehata(SMDO)
PR backboard design
Art Direction : Minami Sano(SMDO)
Assistant Direction : Shinnosuke Nakasone(SMDO)
Chief Graphic Designer : Yuichi Ikehata(SMDO)
SMDO×MATSURICA interview
アートディレクター・佐野みなみとイラストレーター・MATSURICA
SMDOでのクライアントワークについて語る
SMDOで活躍するイラストレーター・MATSURICA氏と、SMDO代表の佐野みなみ。対談を通じて二人の人となりからクリエイティブへの想い、SMDOのアートディレクションの特徴や少し変わったシフト制など、SMDOの実際について語ります。
また、MATSURICA氏が手がけたSMDOの愛猫・nomiとmuuのアート作品についても、どんな経緯で制作することになったのか、制作時の思い出などを振り返ります。
執筆:Yuri Tozaki
イラストレーター
MATSURICA
デジタルアーティストであり、イラストレーター、そして画家である。
2001年に茨城県立取手松陽高等学校美術科(日本画専攻)卒業後、独学でデジタルアートを習得。
20歳でイラストレーターとして独立後、クライアントワークを中心に行う。2007年に関東、関西の2画廊にて作品の委託販売が始まり、画家としてオオカミとカラスの旅をテーマとしたの作品を描き続ける。現在は制作活動をしながら本の装丁画などのクライアントワークを併行して活動中。
Sano Minami Desogn Office 代表/アートディレクター
佐野 みなみ
1983年11月03日生まれ。東京理科大学理学部化学科卒業 東京理科大学大学院理学研究科 化学専攻中退
その後、第一種特待生としてバンタンデザイン研究所グラフィックデザイン学科入学。
C.T.T.P (現 信藤三雄事務所) インターン在籍後2009年4月より2010年4月まで 合同会社OPERA (現 株式会社ヴィーナス・スプリング ) に在籍。グラフィックデザイナーとして勤務。
2010年4月より独立しSano Minami Design Officeを設立。
2023年から3年連続でグラフィックデザイン年鑑『MdNデザイナーズファイル』にて最前線で活躍しているトップクリエイター&次世代を担う若手デザイナー255組の1人として掲載されている。
MATSURICA氏は仕事中に「小さな佐野みなみ」を宿している?
佐野:MATSURICAさんは、SMDOにイラストレーターという形で所属されていますが、SMDOを知っていただいたきっかけはどういう経緯でしたか?
MATSURICA:ホームページを偶然見つけて、それでイラストレーターを募集されていたので問い合わせをしました。元々は画家業をやっていたのですが、それを一度止めて、クライアントワークをするイラストレーターとしてやっていこうと思っていたタイミングでした。
今まで対企業とのやり取りってやってこなかったので、新しいことにチャレンジしたいと思っていました。
佐野:ご自身のアート活動を完全に辞められたわけではないですよね。
MATSURICA:絵を売るという活動自体が少し虚しくなってきていたタイミングでもありました。
なので一度作家活動は休止してみようと思って、イラストレーターにチャレンジしてみることにしたんです。
佐野:MATSURICAさんは、SMDOに参加していただいてからどれくらいになりますか?
MATSURICA:確か2023年9月からだったと思うので、1年半くらいですかね。佐野さんが、私の人生において初めてのタイプの方なので、圧倒されるというか。パワーとセンスと、いろんなことが初体験という感じでした。一緒にやっていて面白いですし、嬉しいです。今、私自身の満足感がすごいんですよ。
佐野:ありがとうございます(笑)。どんなところが他の人と違うと感じるんですか?
MATSURICA:佐野さんのアートワークって、理系出身なこともあって研究の要素が入っている感じがして。デザインを感覚でやるというよりも、研究して突き詰めていくようなイメージ。あとは、佐野さんと出会ってから私のアートワークに対する意気込みも全然違ってきて。
自分の中に“小さな佐野みなみ”がいるんです。
その小さな佐野みなみを宿すと、冴えてくるような気がする。
自分のアートワーク制作時にも「これ佐野さんだったら絶対ダメって言うだろうな」という違和感を感じる時があるんです。
普通はどこがおかしいのか、パッと見は嫌なんだけど何が嫌なのかすぐにはわからないんですよね。だからクリエイターはみんな困るんですが、佐野さんはそこを見抜くんです。
佐野:小さな佐野みなみを宿すって言葉めちゃくちゃキャッチーなので採用していいですか?(笑)
MATSURICA:デザインの構図や色だったり、その違和感がなぜパッとわかるんですか?
佐野:一つには、数をこなしてきたというのがありますね。
うちにはデザイナーが約20人いるんですが、それなりに入れ替わりもあり、いろんな人のデザインを見るようになります。そうすると「いいな」と思う人のデザインと、経験のない人のデザインとでバランスの取り方も決定的に違ったりするんですよね。あと、デザインの組み立て方も、MATSURICAさんがおっしゃられた通り私は割と理系的に考える癖があるんです。
マージンの取り方に一つとってみても、二つのコンテンツがあるんだったら、二つのコンテンツだってわかるようなマージンの取り方をしないといけない。そこができてないと全体のデザインが散漫になってくるんです。ただ、高校時代から鉛筆画をずっとやってたっていうところもあって、私にもアーティスト気質な部分もある。絵を描く人の気持ちにもなろうと思えばなれるし、理系的な考え方をする部分もある。そういうバランスがもしかしたら、良い相互作用を生んでいるのかもしれませんね。
– デザイン的に「違う」箇所が
すぐにわかるのが佐野のディレクション
佐野:今まで様々な案件で活躍いただいていますが、一番最初にお願いした案件は何でしたっけ?
MATSURICA:GODIVAのパッケージイラストのお仕事だったと思います。
桜のイラストや、他にもすごい量のイラストをご依頼いただいた思い出があります。イラスト案だけでも「すごい量だな」と思いましたけど、不満は全くなくて、ここまで案出しをするデザイン事務所って他にないんじゃないかな、と思ったのを覚えています。
そこで「SMDOでは徹底的にやるんだな」ということが体感できましたね。
佐野:ありがとうございます。
MATSURICA:あと、お菓子の形状案を出すところまででしか関わっていませんが、THE Petalの案件が進行している状況を横目で見ていて、結構サクッと「ここ違う」「ここ違う」って佐野さんが指示を入れているのを見ていて「判断が速いなぁ」と思ってましたね。
通常のデザイナーの方でも「何か違う」はわかるんだけど、じゃあどこが違う、までわかるのに時間がかかるものじゃないですか。
それをサクサク進めて行くのが、佐野さんが他の人と違うところだと思います。
佐野:私、すごいせっかちなんですよ。だから「迷ってる時間がもったいない」と思っちゃう。
一度にやってる案件数が多いときは二十数個くらいあるんです。それだと迷ってられない、という事情もありますね。進まなきゃ終わらないから。
あとは自分の中で確固たるイメージがあることがほとんどなので、それにたどり着くように制作しているので判断はしやすい。明確なビジョンがある、というのは判断が速いと言われる一つの要因かもしれませんね。
また、毎日何名ものスタッフに向けて、365日何年も指示動画を撮り続けていると、そのデザインやイラストについてどう進行すべきか脳内で瞬時に整理・言語化して、順序立てて話す癖がついているというのもあると思います。
実はMATSURICAさんは、私の求めているビジョンを察知する能力がSMDOのスタッフの中でもかなり高いんです。あとは表現の幅も広いですよね。
自分の得意なテイストだと作業が速いけど、苦手なジャンルだとなかなか進まない方もいますから。MATSURICAさんは3Dテイストでも絵画テイストでも何でもいけるから、難易度が高いイラストの制作依頼が来たときはまずMATSURICAさんにお願いするようになってきてしまった(笑)。
他のイラストレーターさんの場合には得意なテイストをお任せしていますし、それが本来想定しているスタイルでもあるのですが、MATURICAさんは3Dやステンドグラスのようなテクスチャまで対応ジャンルの幅がかなり広いのでクライアントワークにおいてはとてもありがたい話ですよね。
MATSURICA:Photoshopの技術というか、表現には自信があるんです。
こうしたいというビジョンを見せていただいた際に、どうアプローチをするとここにたどり着けるのか、というのは理解できている自信があります。
それでも毎回、SMDOから依頼を受けるときは自信がないです。今度こそ描けないかもしれない、と思っている。
佐野:今までお願いしたお仕事の中で大変だったなとか、逆にやりやすかったと思うものはありましたか?
MATSURICA:やりやすいのは、リアルテイストなイラストですね。何も考えずにリアルに描けばいいだけなので、手を動かせば終わる。逆に大変だったのは、Photoshopでできない布の質感を表現してくれという依頼とか。あと、ちぎり絵をオーダーされたときも結構大変でしたねぇ。どうやってちぎりを絵に表現しよう、とすごく悩みましたから。
描くっていうよりは素材感で表現して、というオーダーがたまにありますよね。ステンドグラス風とか。ああいうのは結構ひねり出して、どこから手をつけようかな、と考えながら作業しています。
佐野:ステンドグラスのイラストは、上がってきたときに本当に素晴らしいなと思いました。
「MATSURICAさん、本当に何でも行けちゃうんだ」と。そこからどんどんオーダーが厳しくなっていった記憶があるんですけど(笑)。GODIVAの桜パッケージのイラストもお気に入りとおっしゃってましたね。
MATSURICA:初めはあまりにも今までのプロダクトの雰囲気とかけ離れていたので「これでいいんだろうか?」「ちゃんと形になるのかな?」と思いながら制作していて。自分の中で先の見えない恐怖感がある中でイラストを渡したら、すごい綺麗になって出てきたので「ああ良かったんだ」と。
佐野:これ、MATSURICAさんのパワーももちろんですが、これを構成してくれるデザイナーさんのパワーもありますからね。イラストとデザインのコラボレーションですごくいい形になったと思います。例えば、SMDOのスタッフの福岡さんという方がいるんですが、彼女のセンスは私も大好きなんです。
MATSURICA:nomiちゃんとmuuちゃんの名刺を作られた方ですね。
佐野:そうです。イラストをMATSURICAさんが描いて、それを福岡さんが名刺の形に仕上げてくれたんですよね。インスタにアップしたら大好評で、商品化してくれって連絡が来たり。名刺を商品化ってどうやって?って(笑)。nomiとmuuの特徴も捉えてくれてて可愛いですよね!
これもイラストとデザインの良いコラボレーションの形でした。
ポップアート的かつレトロなデザインで、SMDOならではの遊び心と独自性に富んだデザインになりましたね。
– SMDOのアイドル猫・nomiとmuuのイラスト制作の依頼を受けて
佐野:MATSURICAさんにnomiとmuuの絵を描いてもらいたいなという気持ちが、名刺を制作した頃から湧いてきて。閑散期の頃合いを見てMATSURICAさんにイラストをお願いしたんです。最初に絵をお願いしたいってご連絡した時はどう思われました?
MATSURICA:すごくドキドキして、私が描いていいのだろうか、という気持ちもありました。佐野さんはきっといろんなイラストレーターさんを知っているだろうし、私なんかでいいのかしら、と。でも、私自身もやりたいと思ったんですよね。
佐野:見ててジーンと泣けてくる、すごくドリーミーな感じに仕上げていただいて。イラストのポイントやこだわりはありますか?
MATSURICA:ちょっと霞がかった感じに仕上げていて、遊び疲れた後の「さあ、そろそろお家に帰ろうかな」という雰囲気をイメージしました。黄昏ているような。
佐野:遊び回って、疲れてポテッと砂浜で日向ぼっこしてるみたいな、そういうイメージでお願いしたので、よくぞ再現してくださいました。
仮タイトル『シティーハンター』についてはどうですか?
MATSURICA:最初のイラストと対比して、街の雰囲気を出したいな、と思って。
ドコモタワーっぽいタワーを描いて、新宿の街をイメージしたり。SMDOのオフィスの角部屋をイメージしているところもあるんですよ。
ビルにお母さんが住んでいて、そこから二匹は海に遊びに行くストーリーなんです。
佐野:大きく印刷して部屋に飾ってます! わがままを聞いてくださり、ありがとうございます。
– SMDOのシフト制はデザイン事務所では画期的?
佐野:SMDOに参加してみて、ワークスタイルについては何か思うところはありますか?
MATSURICA:他のお仕事では納期を提示されて発注、が一般的だと思いますが、SMDOは時間区切りのシフト制なので、そういう方式をとるのは珍しいと思いました。おかげで、どんなに修正があってもモヤッとすることが少なくて助かってます。デザイン事務所のシフト制はなかなか画期的なシステムだと思いますね。
佐野:モヤッとしないのは、時間の区切りがあるからですか?
MATSURICA:ある程度時間をかけて納品したものに後からリテイクが入ると「あれだけ頑張ったのに」という気持ちが生まれてしまう。時間がなくなってくると焦っちゃうし。SMDOのお仕事の場合は、じゃあここまで描いたけど、イチからリテイクになった場合はそこまでの分は稼働としてカウントしますと。そういうやり方をしてもらえると、クリエイターにとってはやはり助かりますね。
佐野:うちのスタイルでやっていける人は、確かな技術力がある人じゃないと無理なんですよね。私がオーダーしたことに対して時間がかかっちゃう人だとうちでやっていけないんですよ。
MATSURICAさんのように技術や表現の幅があって、ペースも速い人だと、私もお仕事をたくさんお願いできるし、修正の分をお支払いしても損した気持ちにはならないです。
MATSURICA:SMDOでは「ここまで時間かけちゃったのに、どうしよう」というのが、全くないです。
佐野:SMDOは時給的にすごく高いわけじゃないし、そんな中でやっていただいている分、かけた時間に対して支払う、というスタンスは絶対守らなきゃいけないと思っています。ディレクターってそういう部分を決める人でもあると思うんで。だから、クリエイターさんの立場でそこを良いと言ってくださるのは、私もこういう働き方にして良かったと思いますね。
MATSURICA:SMDOは今後、どんな事務所になっていくんですか?
佐野:デザイン事務所を立ち上げて15年目になりますが、実は今、得意な分野がだんだんわかってきた時期なんですよ。チープな言い方かもしれないですけど、我々が得意な分野は大きな企業やブランドさんの案件。誰もが知っているような有名企業さんの案件が相性が良いんですよね。
MATSURICA:そうですね。わかります。
佐野:高級感とか、あたたかみのあるプレミアム感というのは、私は常に意識してるんですけど。そういうものを求めているクライアントさんは大きな企業さんが多かったり。
私の仕事のやり方も、例えばロジックを元に様々な検証をして多めに案を出すケースなどは、大きい企業さんにとって安心感につながる部分もあると思うんですよね経営層の合意形成をとりやすいなど。
たくさんの検証の上で多くの案を出すには見積もりもそれなりにはなってしまうんですが、それでもリピートしてくださるクライアントが多いですし、結果大きい企業さんとの相性が良い。
今後は、私としてもそうした案件を増やしていきたいと思っています。
MATSURICAさんは、今後どんなお仕事をしたいなどの希望はありますか?
MATSURICA:そういう大きなクライアントさんや代理店さんと、私たちがチームになって佐野さんの得意な分野でパッケージを作るというのは、理想的なお仕事の形ですよね。
私もそうしたお仕事をたくさんしていけるといいなと思います。
佐野:ありがとうございます!
大きな案件にはそれだけ時間がかかりますし、作るだけじゃなくて売らないといけないので、PRやマーケティングなど、そういうところも大切ですよね。
デザインの力だけでは難しいところもありますが、今後もクライアントと協力し合ってブランディングをやって行きたいですね。
comm.arch. (Joe Mc) 2026 spring summer
ファッションブランドcomm.arch.(Joe Mc様)の2026 spring summerの撮影、A1サイズポスター型ルックブックデザインを担当致しました。
SMDO was responsible for the photography and A1-size poster-style lookbook design for the 2026 spring summer collection of the fashion brand comm.arch. (Joe Mc).
Client:Joe Mc
Art Direction & Photo : Minami Sano (SMDO)
Assistant Direction : Shinnosuke Nakasone (SMDO)
Graphic Design : Shiori Sakamoto(SMDO)
Retoucher : Miki Asakawa(SMDO)
Hair & Make : Ayame Sannomiya
Model : Maru, Anji
『THE Petal』 interview【Part2】
「花束の代わりにTHE Petalを」
ヴィジタンティーヌ誕生秘話【Part2】
ミシュラン三つ星シェフの江﨑 新太郎氏が代表取締役会長として、お客様に「おいしい」という喜びと共に「健康」をお届けするビジョンを掲げて2014年に創業した株式会社おいしいプラス。
創業以来フードテック事業(主に、お弁当事業)を展開してきたが、2025年に新しくスタートするのが新事業の『THE Petal』だ。「花束の代わりにTHE Petalを」をテーマに、低糖質でおいしい、贈り物として喜ばれるギフト用焼き菓子をオンラインで展開する。
Sano Minami Design Office(以下SMDO)では2018年に冷凍弁当事業のリーフレットデザインを担当したことを契機に、おいしいプラスと様々なコラボレーションを展開。今回は『THE Petal』のブランドデザインコンセプト策定から商品開発秘話まで様々なお話を、株式会社おいしいプラスの伊東社長(伊東修、代表取締役社長)、吉村部長(吉村健人、製造統括部 部長)にお話し頂く。【Part1こちら】
インタビュアー・執筆:Yuri Tozaki
「THE Petal」の実績ページはこちらからご覧ください。
https://sanominami.com/project/the-petal/
株式会社おいしいプラス/代表取締役社長
伊東 修
2002年:野村證券株式会社入社。全国同期3年連続営業成績トップ。
3年目にして全国7年次以下全社員中営業成績トップ(野村証券史上初)。
2006年:米モルガンスタンレー証券会社入社。機関投資家、上場会社、未上場会社等の法人営業に従事。
2008年:リーマンショック等未曾有の金融危機の中、ヴァイスプレジデント昇格。
2013年:株式会社クラウドファンディング創業。
2014年:株式会社おいしいプラス創業。
出身:神奈川県
趣味::四季報を読むこと
株式会社おいしいプラス/製造統括部部長
吉村 健人
2010年:株式会社ひらまつ入社。サンス・エ・サヴ―ルに配属。
料理からデザートまでの一通りを学ぶ。ここでの修業が自身の料理の原点となる。
2015年:ロイヤルホールディングス株式会社入社。
ロイヤルコントラクトサービス株式会社にて、伊勢丹新宿本店 イセタンダイニングに配属。
入社半年で副料理長、約1年で料理長となる。多種多様なジャンルの料理を学び、作り上げる。
2023年:株式会社おいしいプラス入社。
Sano Minami Desogn Office 代表/アートディレクター
佐野 みなみ
1983年11月03日生まれ。東京理科大学理学部化学科卒業 東京理科大学大学院理学研究科 化学専攻中退
その後、第一種特待生としてバンタンデザイン研究所グラフィックデザイン学科入学。
C.T.T.P (現 信藤三雄事務所) インターン在籍後2009年4月より2010年4月まで 合同会社OPERA (現 株式会社ヴィーナス・スプリング ) に在籍。グラフィックデザイナーとして勤務。
2010年4月より独立しSano Minami Design Officeを設立。
2023年から3年連続でグラフィックデザイン年鑑『MdNデザイナーズファイル』にて最前線で活躍しているトップクリエイター&次世代を担う若手デザイナー255組の1人として掲載されている。
チャレンジャー精神に溢れた環境で
より高みのデザインを目指す
− 佐野さんの方でお菓子のコンセプトなどを吉村さんに相談しながら作り上げていったということですが、吉村さんがプロダクトを作り上げる中で「大変だ」と思われたシーンはありましたか?
吉村部長:我々おいしいプラスの社の雰囲気もあると思いますが、チャレンジ精神が強く抵抗感なく挑戦できる環境なので、達成感の方が強いんですよ。
『THE Petal』の商品開発の初期は、様々な形の試作品を佐野さんに送りつけて、食べていただきながら味の感想をいただいていました。
ブランドのイメージと合うかなどの感想のやり取りも、お弁当事業とも並行してだったので手が回りきらない時もあったんですけど、楽しみながらやれました。
佐野:私がおいしいプラスさんのチャレンジ精神をまさに感じたのが、パッケージ制作のシーンで。
普通の企業さんのパッケージ制作は「予算をいかに抑えるか」が重要なので、紙も本当は贅沢なもの使いたいけど「もうちょっと安いのになりませんか?」と言われたりする。
だけど、おいしいプラスさんは逆なんですよね。予算を考えてこの辺りの紙でどうですか?と提案したら「いや、佐野さんがいいと思うもので提案してほしい」と言われて。
レザー調の紙とか、普段なかなか私たちも使えない紙を使わせていただいて。
大きな企業さんだとロットも多くなりがちなので、絶対使えないような紙も使わせていただいたりして、私たちも楽しみながらデザインをやらせていただけました。
そうした部分でもチャレンジ精神が伝わってきて、本当にプロダクトに妥協なくいいものができたのではないかと思いますね。
下:パッケージに使用する用紙の検証
下:SMDOが提案したパッケージデザインの色検証の一部
−双方でより良いものを、とお互いに意見交換した結果が花開いたということなんですね。
佐野:『THE Petal』を作る中で吉村さんが何度も何度も試作品を送ってくださって、フレーバーや味に関しても感想をぜひ教えてほしいとおっしゃるので、私も遠慮なしで色々と伝えたんですけど。
それでどんどん商品自体リッチになって、見た目もどんどん華やかになっていって。そのブラッシュアップ感が、この1年でパッケージもそうですし、中身もギフトに最適なものになったなと感じます。
− SMDOからおいしいプラスに出された提案で、印象に残ったものはありましたか?
吉村部長:一つ返したら、佐野さんの方からすごいスピードで倍返してきてくれる楽しみがありましたね。
遠慮して言ってくれない取引先もたくさんある中で、本当にこういうデザインでやりたい!という気持ちもまっすぐ伝わってきたので。
− 異様なレスポンスの速さが印象に残ってるんですね(笑)。
吉村部長:バンバン打ち返してきてくれるから、ちょっと大変でした(笑)。でも、その打てば響く感じがすごく楽しかったです。
伊東社長:SMDOは、佐野さんがいいと思ってないとダメだ、という姿勢がすごく特徴的だと思っていて。だから仕事としてやっている以上は、いいと思ってるものしか出てこないだろう、という信用がすごくあります。
そこに対して疑ったことはないし、いつでも最高のクオリティで出てくるのがSMDOの良いところだと思うんですよね。
佐野:ありがとうございます。
今までの7年間お仕事させていただいて、やっぱりおいしいプラスさん自体もとてもこだわりがあるので、例えば一つのパンフレットやリーフレットを作るのにも文言に結構修正が入るんですね。
でもそれはおいしいプラスさんがこだわって表現されることを、何度も推敲(すいこう)されているから出てくる修正なんですよ。
おいしいプラスさんにはまず、こだわりや信念というのがあるんですよね。なので、デザインに対しても「佐野さんが作るものを信じます」という姿勢で来てくれるので、そうした信頼感がひしひしと伝わってくるのが、デザイナーとしてはありがたいですね。
− SMDOとおいしいプラス、お互いのこだわりに対して信頼感があるということですね。
下:webデザインの検証の一部
パッケージのボックス形状から描き起こし
超こだわりのボックス形状
− 『THE Petal』の商品開発においてこだわった部分について教えてください。
吉村部長:一番は、やはり化学調味料・着色料・保存料・香料を使わないで宝石のようなツヤ感などを出すこと。
デザートにおいてきらびやかさを表現するためには、一般的には砂糖や添加物の粉を使いながらテクスチャを出すんです。
添加物を使わないと、安定しない部分もある。濃度が緩くなったり、時間をかけて解凍したら結局水みたいになっちゃったりとか。そういったところを解決しながら、いかにそういったものを扱わずに再現するか…
『THE Petal』で一番こだわったのはヴィジタンティーヌのイチゴ味です。
イチゴのペクチンという栄養素があるんですけど、科学的な面も考えながら煮詰め度合いや裏濾しの仕方を工夫し、透明性を出しながらいかにクリアな赤色の宝石のようなテクスチャーを出すか。
そういった部分を考えながらお菓子の形も考えて開発していくわけです。
自然で濃縮されたイチゴの香り、適度な酸味を残したフレーバーを出すことにはこだわったので、そこをぜひ味わって欲しいです。
− ありがとうございます。幾何学の形をお菓子で再現するプロダクト開発の苦労についてもお聞かせいただけますか?
吉村部長:生地の出し方…型に対して角やへこみなどのラインがしっかり出るように生地を調整するのが大変でしたね。
最初の生地では苦労したので、お花のイメージのふんわり感が出るように、軽い生地にしていこうと。
フィナンシェとヴィジタンティーヌって、実はほぼ同じお菓子で、製法が若干違うだけなんですよ。
ヴィジタンティーヌは、フィナンシェから卵白の使用法を変えたもの。フランスの伝統菓子ですが、ほぼほぼ同じ材料なんですよ。
なので、角のフォルムをしっかり出すためにフィナンシェよりもヴィジタンティーヌの生地の方がいいのではないかと思い、ヴィジタンティーヌを選びました。
佐野:『THE Petal』のビジュアルイメージでも伝えている幾何学感を形で表現してくださって、鋭利な角感も表現されている。私の提出したラフデザインから、とても素敵にブラッシュアップされたなと思いました。
下:商品に同梱するフレーバー紹介のリーフレット
下:ダンボールデザインの検証の一部
− 今回のブランドデザインを制作する中で、佐野さんが特にこだわった箇所を教えてください。
佐野:パッケージのボックス形状ですかね。
中身の構造をパッケージ屋さんと相談をしてイチから作成しました。
開けた時にゴテゴテとしてる箱形状は、私自身はテンションが下がってしまうタイプなんです。
パッケージ会社さんから試作が送られてきたものに対し、私の方でよりシンプル化した構造のアイデアをパッケージ会社の担当さんに伝え、CDディスクのような紙の土台を出っ張らせた爪の上に置くような構造になりました。
パッケージの外側だけじゃなく、中身の設計部分もシンプルな構造にするようこだわりましたね。
下:形状の検証
下:実際に商品化された形状
−パッケージの構造自体を考えられることは結構あるものなんですか?
佐野:他のデザイン事務所ではどうかわかりませんが、SMDOではたまにありますよ。プロダクトデザイン事務所ならやるかもしれませんね。
元々私は理系出身なので、自身で図面を引いたり展開図を描いてしまって、パッケージ屋さんに投げることも過去には数度ありました。
− おいしいプラスがSMDOに依頼して一番良かったと思ったところはどんなところですか?
吉村部長:私はレストラン上がりなので、料理の構想が外見やカトラリー、お皿などに引きずられる部分があります。なので、いくらお菓子が美味しく作れてもやっぱりギフトのラッピングだったり、開けた瞬間のシチュエーションやストーリーがないと何も響かない。
料理人の顔が見えると同時にお皿を作った人の顔も見えるイメージでしょうか。
なので、僕がSMDOに依頼して一番良かったなと思うのは、そういった感性に対して全て受け答えしてくれるところでした。
佐野さんのテーマに合わせて料理をストーリー化させていくっていうのは、かなり楽しかったです。
佐野:私はお菓子のことを何もわからずに幾何学模様のデザインを出したりするんですけど、それにすごく寄り添っていただき、楽しんで開発してくださったのかな、と思います。
お互いにやり取りして構築していく関係がとても心地良かったですね。
下:箔押しの検証
下:SMDOが提案したロゴデザインの一部
−『THE Petal』の今後の展望をお聞かせください。
伊東社長:おいしいプラスというストーリーの元で、次の商品や新しいお菓子を出していけたらいいかなと思います。
世の中を健康にするという我々の指針がありますが、『THE Petal』のヴィジタンティーヌは普通のフィナンシェと比べて糖質は約半分。これが人気のお菓子として世の中に広まることは、勝手に世の中が健康になっていくと信じています。
おいしいお菓子の一つの選択肢として、世の中に定着していきたいと思っています。
吉村部長:お弁当の方は糖尿病の人でも食べられるレベル感のものですが、お菓子の方も罪悪感なく食べられるものになればいいなと。
低糖質、低塩分というのはおいしいプラスのプロダクトとして定義づけているものなのですが、かつそれで、いつも食べてるものと同様かそれ以上においしいものじゃないと商品化しないと決めているんです。
そうした『THE Petal』に込めたこだわりを、やっぱり伝えたいところですね。
ただおいしいだけのものを作るのは簡単で「低糖質でおいしいものを作る」のはめちゃくちゃ難しい。なので、日々チャレンジです。人類がたどり着いていないものにたどり着きたい。その努力が楽しいんです、私たちは。
下:リーフレットデザインの検証の一部
下:ショッパーデザインの検証の一部
佐野:私も元々化学の研究をしていましたが、失敗続きで成果が出ないことが辛くて辞めた人間なんですよ。
でもデザインは、何度も検証しても楽しくて苦痛じゃない。吉村さんが何度もヴィジタンティーヌの試作をしてくださったように。
向いてる分野が料理かデザインかの違いだけで、吉村さんと私は似てるのかも。だから、フィーリングがマッチしてる部分があるのかもしれないと、お話を聞いて思いました。
吉村部長:あの形にたどり着くまでに焼いた数でいえば、約5000個ほどあります。一回の試作12個を焼くのに使う時間は2〜3時間。それを単純に5000 個分繰り返したとしたら、約3ヶ月くらいが試作にかかった時間です。
佐野:パッケージに使う色の検証も、ファイルの中にあるだけで組み合わせは100色近くあります。さらにその中から精査してセレクトした上で『THE Petal』側に提案させていただいている。
こうしたお互いのやり方を考えても、吉村さんと私の感性は近いものがあると思います。
− お互いが感性の部分で噛み合った結果、良いプロダクトの出力につながったのですね。
佐野:そうだと思います。
− 最後に、佐野さんから『THE Petal』がこんなプロダクトに育ってほしい、という希望があれば聞かせてください。
佐野:伊東社長がおっしゃったように、ギフトをあげるときに相手のことを本当に想っていたら、添加物だらけなものはあげられない。
ギフトっていうのは本当に相手のことを想ってあげるもので、それが身体にもいい、ちゃんとおいしいものだというのが本当のギフトの形だと思うんです。
「優しいギフト」というワードがすごくいいなと思ったんですけど、そうした『THE Petal』の理念が世の中にしっかり伝わればいいなと思っています。
見た目やパッケージももちろんこだわっているのですが、もらった人が心の底から幸せになれるギフトとして、広まってほしい。
伊東社長:贈った相手の健康を考えた上で、こだわり抜いて作られている。
ビジュアルも味も食感も形も、妥協なしで最高のものができたと自負していますし、おいしいプラスのこだわりが良い形で世の中に伝わったらいいなと思っています。
ー 貴重なお話を、ありがとうございました!
ブランドプロフィール
おいしいプラス / OISHII PLUS
「おいしさ」と「からだにやさしい」を両立する、
お菓子とごはんの新しいあり方を提案するフードブランド。
“やさしいのに、ちゃんとおいしい。”をコンセプトに、
日々の生活を彩るプロダクトを開発しています。
自然素材へのこだわりと、妥協のない味づくりで、
心まで満たされる食体験をお届けします。
公式サイト:https://shop.oishiiplus.com/
THE Petal webサイト
スイーツブランド 担当事例
ロゴ、パッケージBOX、ショッパー、リーフレットのアートディレクションとグラフィックデザイン
リブランディングにおけるクリエイティブ全般のクリエイティブディレクション、アートディレクション、グラフィックデザイン等
『THE Petal』 interview【Part1】
「花束の代わりにTHE Petalを」
ヴィジタンティーヌ誕生秘話【Part1】
ミシュラン三つ星シェフの江﨑 新太郎氏が代表取締役会長として、お客様に「おいしい」という喜びと共に「健康」をお届けするビジョンを掲げて2014年に創業した株式会社おいしいプラス。
創業以来フードテック事業(主に、お弁当事業)を展開してきたが、2025年に新しくスタートするのが新事業の『THE Petal』だ。「花束の代わりにTHE Petalを」をテーマに、低糖質でおいしい、贈り物として喜ばれるギフト用焼き菓子をオンラインで展開する。
Sano Minami Design Office(以下SMDO)では2018年に冷凍弁当事業のリーフレットデザインを担当したことを契機に、おいしいプラスと様々なコラボレーションを展開。今回は『THE Petal』のブランドデザインコンセプト策定から商品開発秘話まで様々なお話を、株式会社おいしいプラスの伊東社長(伊東修、代表取締役社長)、吉村部長(吉村健人、製造統括部 部長)にお話し頂く。【Part2こちら】
インタビュアー・執筆:Yuri Tozaki
「THE Petal」の実績ページはこちらからご覧ください。
https://sanominami.com/project/the-petal/
株式会社おいしいプラス/代表取締役社長
伊東 修
2002年:野村證券株式会社入社。全国同期3年連続営業成績トップ。
3年目にして全国7年次以下全社員中営業成績トップ(野村証券史上初)。
2006年:米モルガンスタンレー証券会社入社。機関投資家、上場会社、未上場会社等の法人営業に従事。
2008年:リーマンショック等未曾有の金融危機の中、ヴァイスプレジデント昇格。
2013年:株式会社クラウドファンディング創業。
2014年:株式会社おいしいプラス創業。
出身:神奈川県
趣味::四季報を読むこと
株式会社おいしいプラス/製造統括部部長
吉村 健人
2010年:株式会社ひらまつ入社。サンス・エ・サヴ―ルに配属。
料理からデザートまでの一通りを学ぶ。ここでの修業が自身の料理の原点となる。
2015年:ロイヤルホールディングス株式会社入社。
ロイヤルコントラクトサービス株式会社にて、伊勢丹新宿本店 イセタンダイニングに配属。
入社半年で副料理長、約1年で料理長となる。多種多様なジャンルの料理を学び、作り上げる。
2023年:株式会社おいしいプラス入社。
Sano Minami Desogn Office 代表/アートディレクター
佐野 みなみ
1983年11月03日生まれ。東京理科大学理学部化学科卒業 東京理科大学大学院理学研究科 化学専攻中退
その後、第一種特待生としてバンタンデザイン研究所グラフィックデザイン学科入学。
C.T.T.P (現 信藤三雄事務所) インターン在籍後2009年4月より2010年4月まで 合同会社OPERA (現 株式会社ヴィーナス・スプリング ) に在籍。グラフィックデザイナーとして勤務。
2010年4月より独立しSano Minami Design Officeを設立。
2023年から3年連続でグラフィックデザイン年鑑『MdNデザイナーズファイル』にて最前線で活躍しているトップクリエイター&次世代を担う若手デザイナー255組の1人として掲載されている。
「おいしい」と「健康」をつなげるブランドの新ラインをプロデュース
−本日は、SMDOがコンセプトデザインから入られたおいしいプラスのニューブランド『THE Petal』についてお話を伺います。よろしくお願いします。
伊東社長:おいしいプラス 代表取締役社長・伊東と申します。
吉村部長:おいしいプラスの製造統括部 部長の吉村です。よろしくお願いします。
僕は株式会社ひらまつでフレンチレストランで見習いから料理人のキャリアをスタートし、レストランパティシエ、前菜から肉料理、ソースまで一通りの経験を積んだ後、ロイヤルホールディングスの伊勢丹ダイニングに転職し料理長に。
その後、おいしいプラスに入社する形になりました。
−おいしいプラスはミシュラン三ツ星シェフの江﨑さんによってお客様に「おいしい」という喜びと共に「健康」をお届けしたいという想いで創業されたということです。
佐野:ミシュラン三つ星シェフである江﨑さんを筆頭に、フレンチの名店で鍛えられた吉村さん率いる最強の布陣の中で『THE Petal』は初めておいしいプラスがプロデュースしたお菓子のブランドなんです。
もともとは、おいしいプラスの冷凍弁当パッケージデザインや、アートディレクションをSMDOにご依頼いただいたのが出会いでした。もう7年近いお付き合いになります。
改めて江﨑さんと伊東さんから、新たにヴィジタンティーヌのブランドを立ち上げたいというご相談をいただいたのが今回の『THE Petal』のお話です。
株式会社おいしいプラス/代表取締役会長
江﨑 新太郎
下:7年連続三つ星を獲得しているシェフ
江﨑新太郎さんが手掛けるお弁当「OISHII PLUS」
.
−『THE Petal』のブランドコンセプトについて教えてください。
佐野:私の方からはビジュアルアイデンティティに関するコンセプトをご紹介させていただきます。
ブランドキャッチコピーは「花束の代わりにTHE Petalを」。私が考案させていただきました。お花というのはギフトとして最適でよく使われますが、お花だけでなく自分へのご褒美や大切な人の贈り物で花束の代わりにこのTHE Petalを活用してくださいね、という想いを込めたコンセプトなんです。
花束の代わりにTHE Petalで心華やぐ贅沢なひと時を一口ずつ楽しんで欲しい。「あなた自身へのご褒美でも、大切な人の贈り物でも、ちょっと仲良くなりたいあの人への手土産でも」どんな用途でも使っていただけるギフトとして。
焼き菓子はギフトとしての汎用性が高いですが、自分へのご褒美で買う人も多いんですよね。なので、自分も含めた贈り物という形でコンセプトを考案させていただいています。
パッケージデザインもSMDOで制作していますが、幾何学(きかがく)模様をテーマにしており、星のようなニュアンスを持たせています。
繊細ですぐ枯れてしまうような儚いお花ではなくて、何億光年も強く光り輝く恒星のように、これから先の未来まで長く愛されるブランドになるようにという想いを込めて、星のようにきらめく幾何学でお花を描いている。こういったビジュアルコンセプトになっています。
下:佐野が考案したコンセプト
下:幾何学柄の検証
.
−お菓子のプロダクトコンセプトについて教えてください。
伊東社長:まず、会長の江﨑の理念になるのですが、おいしいプラスは「おいしい」と「健康」をつなげる会社なんです。
「おいしいけど身体に悪い、おいしくないけど身体には良い」ものは、世の中にたくさんある。ただ、「美味しくて身体に良い」ものがあるようでないんですよ。
様々な食品メーカーが身体に悪いもの…添加物を食品に加えていますし、身体のことを考えたらこの栄養素もあった方がいい、じゃあ美味しくなくてもいいか、という考えで商品を作っている。
皆さん毎日ハンバーガーだけ食べたり、毎日カップ麺を食べたりしないですよね。安くておいしいけど、身体に悪いとわかっている。
つまり「おいしくて身体にいいもの」は消費者が真に求めているものなんですよね。
「おいしい」と「健康」は両立するのが難しいんですよ。
下:Styling&Propのイメージ資料
− 「おいしい」と「健康」をつなげる、その理念から生まれた新しいブランドが『THE Petal』ですか?
吉村部長:そういうことです。
特にギフトとして人に贈るものであれば「おいしくて身体にいいもの」を食べてほしい。
そうしたプロダクトを届けたいという想いから、ギフトとしても使えるお菓子ブランドが生まれたのです。
佐野:ストーリーとして優しいですよね。
身体に悪いものをおしゃれだからとギフトにするのは、実は自分のため。「おしゃれなものをあげる私」なんですよね。
本当に相手のことを想って、健康にも良くておいしくてデザインも素敵なものをギフトとしてあげるのは、すごいいいコンセプトだなと思いました。
吉村部長:今回のヴィジタンティーヌに化学調味料・着色料・保存料・香料は使っていません。
さらに、砂糖の代わりに天然果実 のラカンカを使って甘みを出しています。お菓子作りの根本である砂糖を使わないって、かなりハードルが高いんです。
− 化学由来のものは使わない、という理念ですね。
吉村部長:『THE Petal』のプロダクト開発は佐野さんと一緒に作り上げましたが、ブランドのデザインイメージをお菓子にもしっかり入れたいという僕の想いが強くて。お菓子の形も佐野さんに相談しながら、幾何学や花というテーマを表現しています。幾何学の花のセンターにそれぞれ色とりどりの蜜が入っているようなイメージで作り上げており、バターもグラスフェッドバターという乳脂肪分の濃いコクの強いバターをこだわって使わせてもらいました。
− 食べると、無添加かどうか気にしなくてもちゃんとおいしいんですよね。半解凍でアイスデザートのような形でいただけますし、バターを感じながらしっかり甘みもあって、身体にいいかどうかとは別に、単純においしいと思ってしまいました。
吉村部長:ありがとうございます。
「この名刺を作った人を紹介してください」
名刺デザインから繋がった縁
− おいしいプラスからSMDOに仕事を依頼しようと思ったきっかけをお伺いできますか?
伊東社長:佐野さんのことを知ったのは、7年ほど前なんです。
経営者同士の名刺交換会で名刺交換した方がいて。その方の名刺を作ったのが、佐野さんだったんです。
あまりにも素晴らしい名刺デザインだったので、つい「この名刺を作った人を紹介してください」ってお声掛けしてしまって(笑)。それくらい衝撃的に、私はそのデザインが素晴らしいと思ったんです。
佐野:その経営者の方から「初めて会った方なんですけど、佐野さんをぜひ紹介して欲しいってプッシュされていまして。お繋ぎしていいですか?」って聞かれて、びっくりしました。
伊東社長:その名刺はモノクロで色も少なく、シンプルでかっこいい名刺だったんです。
色もない字だけの名刺って、素人がワードで作りましたみたいになっちゃうんですよ。字だけであれだけカッコよくできるって、相当いいデザイナーなんだと思いました。
あのとき紹介してもらって良かったと思っています。
事業にはデザインがとても必要だし、経営にすごく関わると思うんですよね。それでこのデザイナーさんと一緒に仕事できたらいいなって。
− そこから『THE Petal』の構想が始まった形ですか?
佐野:最初はおいしいプラスのお弁当のリーフレットや、撮影のオーダーをいただきました。
その後おいしいプラスの冷凍弁当のパッケージやロゴ制作、パンフレット制作、ロゴデザインもご依頼いただいて。7年間の間でたくさんお仕事させていただきましたね。
7年間ずっとSMDOを信頼してくださっているクライアント様だと思って、お付き合いさせていただいてます。
伊東社長:末永くよろしくお願いします!
下:以前にSMDOが担当した
おいしいプラスのパンフレットデザイン
下:以前にSMDOが担当したweb アートディレクションとデザイン
(一部ページはSMDOでの作成はしておりません)
− 『THE Petal』のブランドコンセプトからSMDOが関わっているということですが、依頼を受けた際の感想を教えてください。
佐野:最初は伊東社長からお電話で「フィナンシェのブランドを作りたい」というご相談をいただいたんですよね。
伊東社長から「全力でお任せするので、佐野さんの良いと思うものをお菓子の形状から全部やってください」とお話をいただきまして。
例えばパッケージのアートディレクションやブランドのビジュアルアイデンティもやりますが、お菓子の形状デザインやブランドコンセプトまで入り込むっていうのはなかなかない案件なので、責任重大だなと思いました。でも、同時にすごく嬉しかったです。
実際にデザインをご提案させていただいた時も、お花をテーマにして割と王道なお花を使ったものと、今回みたいな幾何学的な攻めたデザインを両方ご提示したんですよ。
それで幾何学模様のチャレンジ案の方を採用してくださったのも、私としてはデザインの可能性をすごくご評価いただいてるようで、嬉しかったですね。
下:SMDOが初回提案したパッケージデザインの一部
(お花をテーマにして割と王道なお花を使ったもの)
下:SMDOが初回提案したパッケージデザインの一部
(幾何学的な攻めたデザイン)
下:その他検証案
− 具体的に『THE Petal』においてSMDOが担当した内容を教えていただけますか?
佐野:まず、ビジュアルに関するコンセプトメイキング。『THE Petal』というブランド名。
ロゴ制作とパッケージデザイン、ボックスデザイン。ボックスの設計自体も私がパッケージ屋さんと相談しながら考案させていただきました。
ショッパー、リーフレット、フレーバーの説明書、発送の段ボール、キービジュアル等の撮影全般、撮影ディレクションと衣装スタイリング、撮影チームのキャスティング、全体の進行管理も担当しています。
また、今度はSNSの発信をしていくのですが、その投稿イメージなどもSMDOで。あとはブランドEC サイトなどのデザイン。
そして初期段階のヴィジタンティーヌ自体の形状アイデアもデザイン画を描かせていただいたり、全体に関わらせていただいています。
− お菓子のデザインを根本から起こされた経験はあったんですか?
佐野:GODIVAさんのマカロンにプリントする柄を考えたことはあったのですが、お菓子自体の形を考えるのは私も初めてでした。
どこまで再現できるのか?と考えながらデザイン画を作りましたね。
幾何学というテーマで考えうる形をデザインとしてご用意した中で、吉村さんが実現可能そうなものをチョイスしていただいて、近づけていった形です。
下:お菓子本体の形状提案(初期段階のもの)
下:幾何学柄の方向性が決まってからの提案
ブランドプロフィール
おいしいプラス / OISHII PLUS
「おいしさ」と「からだにやさしい」を両立する、
お菓子とごはんの新しいあり方を提案するフードブランド。
“やさしいのに、ちゃんとおいしい。”をコンセプトに、
日々の生活を彩るプロダクトを開発しています。
自然素材へのこだわりと、妥協のない味づくりで、
心まで満たされる食体験をお届けします。
公式サイト:https://shop.oishiiplus.com/
THE Petal webサイト
スイーツブランド 担当事例
ロゴ、パッケージBOX、ショッパー、リーフレットのアートディレクションとグラフィックデザイン
リブランディングにおけるクリエイティブ全般のクリエイティブディレクション、アートディレクション、グラフィックデザイン等