SMDO×JO inc. Interview

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ankoto
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INTERVIEW
SMDO×JO inc.  Interview
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顧客の視点に寄り添いながら 

SMDOと伴走した『あんこと』のリブランディング

 

東京の五反田・恵比寿で「酒場それがし」「鳥料理それがし」「とり口」など、和食を中心とした飲食店6店舗を運営する株式会社JOは、2021年2月に“あんこ”が主役のお取り寄せスイーツブランド『あんこと』を立ち上げた。『あんこと』は、「それがし」グループの軸でもある“和”をテーマにプロデュースしたお取り寄せスイーツブランドで、第一段の「あんこチーズケーキ」を皮切りに、系列各店でオープン当初から愛される“あんこ”にフォーカスしたスイーツをオンラインショップ限定で展開している。

 

Sano Minami Design Office(以下SMDO)では2022年に『あんこと』のリブランディングを担当したことを契機に親睦を深めてきた。今回は2022年の両社のコラボレーションを振り返りつつ、今後への取り組みへの想いを、株式会社JO 横尾様、横田様にお話し頂く。

 

インタビュアー:Naoki Kasai
執筆:Naoki Kasai/Yuri Tozaki

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株式会社JO/経営企画
横尾順平

和食店「それがし」を五反田・目黒・恵比寿で展開する株式会社JOの経営企画・新規事業を担当。コロナ禍より、スイーツブランド「あんこと」を立ち上げ、オンライン限定で販売。

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株式会社JO/プロモーション
横田未来

大学卒業後、広告メディア会社にて勤務。2014年よりフリーランス。広報・PR業務を手がける。「あんこと」では、WEB制作やデザイン、撮影のディレクションなど、プロモーション関連業務を担当。

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Sano Minami Desogn Office 代表/アートディレクター
佐野 みなみ

1983年11月03日生まれ。東京理科大学理学部化学科卒業   東京理科大学大学院理学研究科 化学専攻中退
その後、第一種特待生としてバンタンデザイン研究所グラフィックデザイン学科入学。

C.T.T.P (現 信藤三雄事務所) インターン在籍後2009年4月より2010年4月まで 合同会社OPERA (現 株式会社ヴィーナス・スプリング ) に在籍。グラフィックデザイナーとして勤務。
2010年4月より独立しSano Minami Design Officeを設立。

2023、2024年発売グラフィックデザイン年鑑『MdNデザイナーズファイル』にて最前線で活躍しているトップクリエイター&次世代を担う若手デザイナー255組の1人として掲載されている。

 

SMDOに依頼したきっかけは
「ユーザーファースト」の理念

ー まずは『あんこと』様の概要と、
SMDOへリブランディングを依頼された背景をお聞かせください。

 

横尾様:『あんこと』はコロナ禍で立ち上げたオンラインスイーツブランドです。もともと店舗で提供していた自家製あんこスイーツがきっかけでブランド化しました。初期は社内で手弁当でデザインを進めていましたが、成長する中でプロの力を借りる必要性を感じ、リブランディングを検討しました。

 

横田様:その頃、佐野さんのIDMバトンの記事を拝見させて頂き、SMDOへのリブランディング依頼を検討し始めました。「主体はあくまでユーザーであり、商品である」というところが自分の中ですごくポイントになっていましたし、私と同じ考えを記事の中で語られていたところが、すごく印象的でした。そこでぜひ佐野さんにお願いしたいなと。あとは、SMDOのホームページ等を拝見させていただいた上で、SMDOはデザインだけでなく撮影やイラスト制作、音楽制作もできる。一気通貫に全体のアートディレクションができるところが魅力的だなと。
そういうSMDOに『あんこと』のブランドの世界観を含めたリブランディングを担当していただいたら、新しい世界が開けていくのかな、と思いました。そういうところも含めて安心してご相談できそうだと感じたので、勇気を振り絞ってメールをお送りしてみたのが最初のきっかけです。

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ー横尾さんと横田さんからご依頼があった時の、
佐野さんの所感はいかがでしたか?

 

佐野:横田さんがおっしゃったIDMは、インテリアデザインミーティングという多くのインテリアや建築関係の協会が集まった団体なのですが、そのロゴやグラフィックを私が担当した際にインタビュー記事をIDMのウェブサイトに掲載していただいたんです。そのインタビューの中で「グラフィックデザインはアートとは違い分析と整理であり、クライアントがまず第一」ということをお話ししたと思うんですが、そこをご評価いただいてご連絡いただくケースというのは、実は初めてではありませんでした。この考え方がクライアントにとって喜んでいただけるものだと、確信できたことは嬉しかったです。

また、私自身も様々なスイーツのパッケージに携わらせていただく中で、和菓子のパッケージに関わりたいという気持ちを以前から持っていたので、あんこと様からご依頼をいただいたときは素直に嬉しかったですね。

お打ち合わせの中で、横田様も元々デザインの経験やクリエイティブに関する知識を豊富にお持ちで、デザインに理解があったからこそ、スムーズに進行できたのではないかと思います。

SMDO×JO inc.  Interview
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ー 『あんこと』というプロダクトに対して、横尾さんや横田さんは
どんな想いでここまでブランドを熟成されてきたのでしょうか。

 

横田様:私たちの取り組みは「和菓子」と「洋菓子」の隙間を攻めるようなものだと考えています。和菓子らしさを残しつつ、現代的な感覚や洋菓子のエッセンスも取り入れるという、いわば斜めからのアプローチですね。

和に寄りすぎてしまうと伝統的な和菓子ブランドと競合してしまいますし、洋菓子に寄りすぎると和菓子らしい魅力が失われる。そこで、私たちは自社の強みである「歴史」や「店舗ならではのサービス」を活かしながら、隙間市場で戦うことを意識してきました。

ー その「斜めから攻める」姿勢を、具体的に今までのプロダクトデザインへどう反映されてきましたか?

 

横田様:あんこは和菓子の象徴的な要素ですが、あえて“和らしさ”を前面に押し出さないようにしています。「和菓子でも洋菓子でもない」独自の立ち位置を保ちながら、モダンで洗練されたデザインやプロダクトを作ることに注力してきました。

また、ブランド運営においても社内外のリソースを活用するようにしています。私自身がディレクションを行うこともありますが、プロのデザイナーや外部クリエイターに依頼することで、さらに洗練された結果を目指しました。

金色に光る小豆で
「様々な可能性」を表現

ー 今回のあんこと様のリブランディングに関して、SMDOとしてはどんなところに注力されたか、また苦労したポイントなどをお伺いできますか?

 

佐野:横尾さんも横田さんもクリエイティブにはこだわりを持たれている方々です。私の考えとして「アートディレクターにはアーティスト型と分析型がいる」というものがあるのですが、SMDOは分析型だと思っていて。「私のデザインで、私色に染まってほしい」と望んでいるわけではないんです。デザイン感度の高いお二人が求めているものに、いかにしてたどり着けるかというところを緻密に分析しながら、リファレンスもたくさん集めてかなり細かくヒアリングもさせていただいたと思います。
ヒアリングをする中で大まかな方向性は見えてきていたので、擦り合わせを丁寧にしながらご提案させていただけたかなと思っています。

ー 実際にリブランディングを依頼されてみて印象をお聞かせください。

 

横尾様:現在は、SNSやウェブで検索したら何百万とグラフィックデザイナーの選択肢が出てきますよね。その中で「この人がいい」とSMDOをピックアップしてきたところが、横田さんの感性なんだと思います。僕は佐野さんの魅力は2つあると思っていて。一つは、佐野さんはデザインの可能性を広げるための分析もしっかりしてくれるところ。右脳と左脳の両方を活用して、感性だけに頼ることをしない。もう一つは、こちらの要望にとにかく寄り添っていただけるところ。予算や提案も含め、突き放さないで寄り添おうと努力してくれるんです。顧客の課題をどうにかして解決してくれる、そんな姿勢に本当に感銘を受けました。

SMDO×JO inc.  Interview
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ー SMDOでは『あんこと』のリブランディングに際して、どんなところが記憶に残っていますか?

 

佐野:最初に数時間かけたヒアリングで、「和らしさを前面に出さず、かといって既存のファンを切り離さない」方向性を意識するに至りました。田舎っぽくならないクールなグレーを提案したり。小豆のイラストを使うという案に対しても、社内でも様々な議論があったと伺っていますが、1秒で「あんこを使ったブランドである」というのを覚えていただくことはビジュアルアイデンティティ策定の中で本当に大切なところでした。ただの写実的な小豆のイラストではなく、金色で表現した個性的な小豆で「様々な可能性を秘めたあんこ」を表現しています。

 

横尾様:パッケージの紙質についても「素材感を活かしたい」「手触りの良いものにしたい」といった要望を反映するため、業者との連携を丁寧に行ってくださいました。

下図:SMDOが初回提案したパッケージデザインの一部

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下図:SMDOが初回提案したロゴタイプ・シンボルの一部

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論点整理でブランドを導く
SMDOのリード力

 ー リブランディングの取り組みを経て、今後の展望について教えてください。

 

横田様:今回のリブランディングを通じて、私たちが大事にしているブランドイメージが形になりました。今後は、この新しいデザインを活かして、さらに多くのお客様に商品を手に取っていただきたいです。ゆっくりでも良いので、無理のないペースで進めていきながら、あんこの魅力を世の中に広げていければと思っています。

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 ー SMDOに依頼してみて、こんなところがオススメできる、と思われた点があればぜひ教えてください。

 

横田:やはり打ち合わせ初期の圧倒的リサーチは飛び切りです! 群を抜いたオススメポイントですね。それに、依頼側もクリエイティブを作る中で「これもいいし、あれもいい」みたいにブレてしまうこともある。結果的に全ていい!となってしまうこともあります。そこをきちんと「こっちだよ」と、佐野さんが先頭に立って導いてくれるんです。リブランディングの中でも「『あんこと』はどっちの方向に行きたいんですか?」って質問をされたことは、すごく記憶に残っています。マスに向けて、たくさんの人に売りたいのなら尖りすぎてもダメだ、と。そうした、こちらの論点を整理して導いてくれるところがすごく助かりました。

 

横尾:佐野さんが東京理科大学卒だと聞いて、やっぱり!と思いました。感性と論理を両立して、そのバランス感覚でお客さんに寄り添ってくれる。そうした姿勢に感銘を受けましたし、SMDOの魅力はこういうところだと思いますね。

SMDO×JO inc.  Interview
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ブランドプロフィール

あんこと / ANKO TO

 

東京・五反田と恵比寿の和食屋「それがし」から生まれた「あんこと / ANKO TO」は、“あんこ”との新たな出会いを通じて、その魅力を伝える新しい“和”スイーツを提案します。北海道産のこだわり小豆を使用し、職人が丹精込めて炊き上げた自家製あんこを主役に、ユニークで心和らぐ甘味や焼き菓子をお届け。素材本来のおいしさを大切に、あんこが好きな方もそうでない方も楽しめる優しくて素朴な甘さを追求しています。ハレの日のおやつから、日々の暮らしを彩るご褒美お菓子まで。季節の移ろいが感じられる贈り物や、特別なひとときにそっと寄り添います。

 

https://ankoto.jp

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